小康状態

静かに動き始める

大きなクレームを何とか乗り切ってからはしばらく、小康状態が続きました。
でも決して状態は良くありません。
乗り切ってからしばらくも、クレームに関する問い合わせが多くありました。
それでも日が経つに連れ、そういう問い合わせも徐々に無くなって行きました。
得意先からの信用と購入していただいていた商品のシェア率は大分失ってしまいましたが、それでもみんな何とか売上を取り戻そうと頑張ったお陰で、急落した売上も少しずつ上がって行きました。
数年経ってやっと元の売上までは戻ってないものの、平穏を取り戻して来るような状態になる事が出来ました。
ですが、社内は何かに蝕まれるように変わって行きました。
体質が変わらないのは致命的な事だと言えるかもしれません。
やはり組織の体質とは、コアな部分が変わらないとなかなか変わらないものです。
クレームを乗り切った事は会社として一致団結する心を育むどころか、自分さえ良ければ…という思いを根付かせるようになって行きました。
どのような経緯であれ、おそらくこういう形に辿り着いてしまった組織というのは、今の時代多いのかもしれません。
代償という訳ではないでしょうが、工場が操業出来なく無くなった為に、人はごっそりいなくなりました。
賑やかだった雰囲気は急に廃墟のようなたたずまいとなりました。
工場の機械が撤去された時は倒産した工場さながらでした。
しかしこれは紛れもなく『始まり』でした。
クレームは始まりでしかなかったのです。

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